私は昭和4年生まれの戦中派で、広島の出身です。
私の人生には原爆というものが、いろんな意味で人間観、人生観に大きく影響しています。
物理学に興味を持つようになったのも、こんなにすごい爆弾がどうしてできたのか、という考えを持つようになったからです。
それで物理を専門に勉強しようと決め、京都大学に進みました。
丁度、湯川さんがノーベル賞をもらった頃で、素粒子論が注目を浴びていたのですが、私はあまのじゃくで人がやらないことをしようというところがあるんですよ(笑)。
それで固体物理学を専攻したんです。当時は、就職を自分で探すというより、企業の方から大学の教授のところに頼みにくるという風潮で、松下から来ていた求人に私が手を挙げたというわけです。 |