株式会社 M.I.E.コーポレーションがお送りする財界の著名人を対象としたトップリーダーインタビュー

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QUESTION それは大変ですね。その大変な時期を乗り越えるために鴻池先生が取り組んだ事や心の支えとなったものはありましたか。また、その経験を通じて得たものはありましたか。
----鴻池
特に何かに頼る・すがるものはありませんでした。しかし、その経験を通じて私自身の持つ、社会的価値観が変わりましたね。 また、個人の価値観が変化した事で会社自体の価値観、体質に加えて、経営戦略上も変えていかないといけないと気が付く事が出来たので、 その時期に関しては今思うと、良かったなと思っています。

QUESTION では、鴻池組の経営をされた上で大切にしてきた事をお聞かせいただけますか。
----鴻池
はい。私どもの会社の社是3則である誠実(Sincerely)、懇切(Hospitality)、敏速(Rapidly)を私は大切にしています。 私はこの社是3則はビジネスだけではなく、人間の生き方、有り方の根幹にあるものだと考えています。 また、直接お話を聞いたわけではないのですが、YKK株式会社の創業者の吉田忠雄氏がその著書「善の循環」にておっしゃっておられた 「自分の儲けよりも人を喜ばせることに重きを置き、消費者、地元、関連企業、そして従業員、すべてに利益を還元する」という概念は 私が鴻池組を経営する上で常に意識をしてきました。

QUESTION 株式会社 鴻池組140年の軌跡についてお聞かせ下さい。
----鴻池
江戸時代〜明治維新までは廻船問屋を私の曽祖父にあたる鴻池忠治郎が行っていました。 私の曽祖父は豪傑で名前の通り、忠義に厚かったと聞いております。 その後、明治4年に建設、運輸に関する人入れ稼業(現在で言う人材派遣業)の事業を行い、建設と運輸の事業に発展させて行きました。

QUESTION その後、建設、運輸事業にて株式会社 鴻池組が設立されたのですか。
----鴻池
はい。大正7年に株式会社を設立致しました。また、鴻池組は建設業として、株式会社を設立したのは大成建設の次の2番目に設立されました。

QUESTION 企業としてだけでなく、建設業としても歴史ある企業ですね。そんな歴史ある鴻池組ですが、2012年は様々な節目だったそうですね。
----鴻池
昨年は曽祖父(鴻池忠治郎)が生まれて160年、父親が生まれて100年という節目の年でした。 また、曽祖父と父親が生まれた日も歴史的な日でありまして、曽祖父が生まれた1852年は明治天皇のお生まれになられた年でもありますし、 父親が生まれた1912年は明治天皇がご崩御なさられた日でもあります。また、鴻池組としても人入れ家業を創業した明治4年は造幣局が創設され、 近代的貨幣制度や廃藩置県が行われた年でもあります。偶然にも歴史的な節目には鴻池の家系、会社の両方が関係していますね。

QUESTION 今後、鴻池組の伝統をどのように継承していきたいですか。また、どのような140年の歴史を社会に継承していくことを考えておられますか。
----鴻池
まずは鴻池組140年の歴史の根幹でもある、社是3則はしっかりと継承していく必要があると思います。 特に社是3則の2番目の懇切には2つの意味があると私は考えております。 1つ目は「プロフェッショナリズム」ということです。そして、2つ目は顧客が求めるものに対する「顧客対応」です。 これまでの私どもの会社は顧客が必要とするニーズに対応し、実行することが出来る裏付けと技術、それを生み出す技術開発力に力を入れてきました。 このような点を今後、鴻池組にも継承していかなければならないですし、それを鴻池組が実践して行く事が社会に対してもお手本として、 示せるのではないかと思っております。

QUESTION これまで鴻池先生自身の事から鴻池組の歴史についてお話して頂きましたが、鴻池先生自身が持っておられる人生理念などありましたら、教えて頂けますか。
----鴻池
故事成語である「人間万事塞翁が馬」です。「人間」は「世間」を表しており、「万事」は「あらゆること」を意味しています。 そして、「塞翁が馬」には馬とおじいさんの逸話があるのですが、ここでの意味は「幸福と不幸とは見定めがたく、複雑に絡み合っていて予測が出来ない」 と言う意味となっています。私は「人間万事塞翁が馬」を常に意識することで、何事にも冷静に対処し、経営してきましたので、今後も意識して行きたいですね。

QUESTION では、最後に21世紀の若手経営者へのメッセージをお聞きしてよろしいでしょうか。
----鴻池
私どもの会社は142年の歴史があります。しかし、創業者が事業を起こした時は若い会社だったわけですね。 そして、時代が変遷するに従って、その世の中に必要とされるニーズに的確に応える事で成長してきました。 若手の経営者の皆様も本当の顧客と世の中の潜在ニーズを掘り起こし、提案し、大きく社会に貢献して頂ければと思います。

本日は誠にありがとうございました。
(2013年9月3日取材)
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