 政界に入られて8期連続当選、環境庁長官と防衛庁長官もなされましたね。
 ----愛知
今でこそ環境は注目を集めていますが、当時は環境問題はあんまり大きな課題ではなかった時代でした。内閣の中でも、誰がやってもいいやってくらいな感じで(笑)。現在とは大違いですけどね。今でもよく覚えているのは、記者会見で「長官は何か環境にいいことをされていますか?」という意地悪な質問をされたこと。そこで「エレベータには乗らずに、(長官室まで)階段で行こうと思います」と言ってしまった。それで毎日22階にある長官室まで階段で上ってましたよ。一緒に歩いてくれたのは警官の人たちだけでしたけど・・・。もう一つは「歩け歩け協会」っていう社団法人が年に一回大会をやるんですが、挨拶だけじゃつまんないから、私も参加しようという話をした。コースがいろいろあるけど、どうせやるなら一番長い50kmをやろう!と言ってしまった。10数時間も歩くのは大変でした、本当に。でも、歩くって非常にいいことだなと実感はできましたけどね。
愛知先生は本当に有言実行の方ですね。
----愛知
有言実行っていうか、言っちゃうんだよ(笑)。言っちゃったものは、やらないとしょうがない。
防衛庁長官時代のエピソードは?
----愛知
あれはね、本当に突然だった。皇居で天皇陛下から辞令を頂く時にも、鳩山由紀夫のモーニングを借りて行ったくらい。まあ偶然になったようなもんだけど、防衛庁では良い経験させてもらったと思っている。当時の細川首相には感謝していますよ。
歴代の防衛庁長官と比べると、愛知先生は非常にジェントルマン路線だったと思います。
----愛知
大事なのは自衛官の方たちだと考えていました。だから私はできるだけ隊員の中にとけ込むことをやりましたよ、一生懸命に。そのひとつが、戦闘機に乗ったこと。あれちゃんと体力等の基準をパスしないと乗せてくれないんですよ。潜水艦にも乗ったし、戦車にも乗りました。レーダー監視の現場も視察に行ったことがありますよ。何事も現場や最前線を知ることは大事なことですからね。
そこに目をつけられるというのがすごいですね。企業のトップの方でもそれは同じだと思います。
政治家として一番尊敬できる人は誰かとかは教えていただけますか?
----愛知
意外に思われるかもしれませんが、田中角栄さんです。とにかく発想がユニークですし、人を惹きつける魅力があり、人を使うのが上手い。あんな人は他に見たことありません。人と人との繋がりや関係をすべて把握していて、日本全国のことが頭に入っている。とにかく何と表現していいのか分からないくらいすごい人でしたね。
日本の行方を考えた時に、田中さんのような人が必要だ思いますか?
----愛知
必要でしょうね。リーダーって言うのは体から発するもの、オーラがないといけない。 「田中角栄なんて・・・」と悪口言っている人でも、一度本人に会うとコロっと変わっちゃうんだよね。それだけ人間的な魅力がある人物でした。
 最後に若手経営者に向けてのメッセージを
----愛知
日本は基本はものづくりの国。ぬれ手に粟みたいな金儲けはダメだと思います。政治も変わっていかないといけませんが、ビジネスの世界も、もう一度原点に戻ってものづくりに根ざした国家を見つめ直すことが大切だと思います。日本の良さを見つめ直す、日本人の良さを再認識する。日本や日本人に向いていないことをやってもしょうがないですからね。あと私が強く思うのは、日本は明治維新以降、極度の中央集権体制で進んできましたが、世界の先進国は地方分権なんですよ。日本もそろそろそうならなきゃいけない時期に来ているんです。各地方がそれぞれのよさを大事にして、中央に頼らずに個性を大事にして自立していくことが大切だと感じています。
その通りですね。関西が自立していくことは、日本の発展にも繋がりますものね。本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。
（2007年2月15日取材）
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