では、これからの時代を担う経営者の方々へのメッセージをお願い致します。
----橋本
私が一番言いたいのは、『自分の信念を貫け』ということです。それは経営者に限ったことではないですが、人間やはり嘘をついてはいかんのですよ。信念を持って思っていることを言葉にすれば、きっと人に伝わるはずです。私は一社員であった若い時代に、当時の檜山社長が社員を集めて他社に負けるなという訓示をしていた時、私自身は成績を上げていたので『社長の仰っていることは、噴飯ものです!』と言ったことがある。そうすると社長から「君は小さなところで勝っているだけの話で、私は全社的な立場から言っているのだ」と言われた。でも私は『みんなが私のように言えるようになればいいのではないでしょうか』と言ってやった。それでもう檜山さんはそれ以上何も言わなかったですよ。
会社にとってはすごくいいことですよね。
----橋本
そうですよ。“フォー・ザ・カンパニー”の精神ですよ。相手の顔色を見て話をするんじゃなくて、言うべきだと思ったことはきちんと言わないといけない。逆に考えれば、お世辞を言うやつには気をつけろ、ということです。『面従腹背』という言葉があります。その人の前では従うような言動をしていても、裏に回ればバカにしているようなことを言う態度のことですが、そういう人間が一番いけないと思う。通産省(現・経済産業省)の官僚だった兄も「守、ゴマをすってくる奴には気をつけろよ」ということをよく言っていました。役人とビジネスマンで立場は違ったけれど、その点は共通していましたね。
やはり、人間性というのが一番大切だということですね。
----橋本
経営者としては、きちんと考えて意見を言ってくる部下も育てていかないといけないとも思います。聞き上手になること、話させ上手になることです。あの人の前に行ったら、話するつもりのなかったことまで話してしまった、というような大らかさを持つことが大切。そうすれば人も育つし、本人にとってもいいことになる。私自身も、常々、意識していることです。特にこれからの若手経営者の方には、信念ある人を育てながら、事業も発展させていってもらいたい。そうすることが、日本のこれから、関西経済のこれからの展望を明るくするひとつの道だと思います。
本日は誠にありがとうございました。
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