遠藤さんがビジネスで一番大切だと思われるのは、どのようなことですか?
----遠藤
自分で行動することだと思います。私はずっと営業畑でしたので、特にそう感じます。銀行時代も企画部とはよくケンカしました(笑)。ペーパーの情報や資料だけで判断しているのではダメだということです。
現場が大切だということですか?
----遠藤
情報に、現場で得た経験をプラスして、自分なりの考え方を持つことが大切なんです。今は情報というものは簡単に手に入り、共通化されたものになっていますが、私が営業をしている頃は、情報というのはそれがあることで他とは差別化をすることができる要素でした。だから、情報を手に入れるために自分で走り回ったものです。そういう経験を通して得た情報は、本当に自分のものとなって役に立ちます。今のように情報が氾濫しすぎていると、偽った情報にも簡単にだまされてしまいます。それはやはり経験が伴っていないからでしょう。
虚偽情報とか、ガセネタとか、最近話題になっていますものね。
----遠藤
自分で判断できるだけの経験がないと、情報を鵜呑みにしてしまうしかないんでしょうね。経験というのは、積まないと蓄積されない。経験を積むためには“動く”ことです。その時は役に立たないと思うようなことでも、後で役に立ったりもする。経験が付加価値を生んでくれることもある。仕事から逃げてはいけないんです。大変なことから逃げずに向かっていけば、それが経験値になるはずです。
ITの時代ですが、やはり自分で動くことが一番重要だと?
----遠藤
理論は勉強で身につけられても、現実にどうなるかは、経験していなければわからないでしょ。例えば、バランスシートを見る時、損益分岐点や収支を見ろと言われますが、私がまず見るのは未払金と未収金です。未払金が多ければキャッシュフローがおかしい、未収金が多ければセールスのポイントがどこか狂っている、ということが判断できるんです。いい情報を調べられるようになることと、さまざまな経験を積むことが相乗効果になり、本当にビジネスで役立つ力になると思います。
これからの大阪や関西経済を支える経営者にメッセージをいただけますか?
----遠藤
人間はひとりで生きている訳ではないですし、会社もひとりの力で動いているのではない。たくさんの人の支えで成り立っているものです。ですから、自分を育ててくれた周りのことを考えて生きていって欲しいと思いますね。人間個人としてももちろんですが、企業人・経営者としても企業が育ってきた地域を大切にすることを考えてほしいです。特に大阪や関西経済は、東京の類似型になりすぎてしまっている気がします。名古屋や福岡などの方が、地域として独自の形が成り立っているんじゃないでしょうか。グローバルなスタンスでビジネスを展開することはもちろん必要なことだとは思いますが、これからの経営者の方々には地域社会のことも考えて行動することを期待しています。そのような方々の力によって、関西の企業風土や文化を大切にした新しいスタイルの経済を作ってもらえたら、関西も本当の意味で盛り上がって素晴らしいことになると思います。皆さんぜひ、前向きな姿勢で頑張ってください。
ありがとうございます。最後に、遠藤さんの座右の銘をお聞かせください。
----遠藤
『夢なき人生はうつろなり』です。夢を持っていないと人生は絶対に寂しいですから。
いいお言葉ですね。本日は誠にありがとうございました。
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