今回のトップリーダーインタビューは、ホンダ、フォルクスワーゲン、GMでご活躍なされた佐藤さんにお話をお伺い致します。佐藤さんはご出身は京都でいらっしゃいますよね?
----佐藤
はい。平安神宮の神主の息子に生まれ、大学まで京都で過ごしました。卒業後、すぐに世界放浪の旅に出ました。どうしても自分の目で世界を見たいと思っていたからです。アルバイトで貯めたわずかなお金を頼りに出かけた貧乏旅行でしたが、その旅で得た経験が、私のその後の人生の原点になったと思っています。
著書に書かれていたのですが、物乞いをしながら日本に戻ってこられたとか。
----佐藤
ええ。でも、好きでやったわけではないんですよ、やむを得ずやったわけで。本音はそれがちょっとやみつきになったという部分もありますが…。1日2〜3時間、道で物乞いをして、その日の分を稼いだらまた遺跡を見たりしながら旅を続けていました。そんな中、イラクのバグダッドで日本人のビジネスマンが私を憐れんでドルの大枚を恵んでくれたんです。それが私の人生決めましたね(笑)。その時に「このままではいけない。オレも世界に通用する国際ビジネスマンになろう!」と思ったんですよ。
そんな動機だったんですね…。
----佐藤
1年半の間に40ヶ国をまわった旅で、自分の身は自分で守るしかないという覚悟と、必死になって声をあげて表現すれば誰かが手を差し伸べてくれるという世の中の有り難さを身に沁みて感じました。人生でも、ビジネスでも、基本ともいえることを身体で学んだ貴重な経験でしたね。
帰国後は貿易会社を経て、ホンダへ中途入社なされました。ホンダでのお仕事は貿易担当で、ブラジル駐在、タイの現地販売会社の社長と、まさに目指すところの国際ビジネスマンの道を歩むようになられました。
----佐藤
いや、なかなか簡単な話ではなかったですよ。ポルトガル語なんか話せないのにブラジルに行きましたから。ホンダに入って、自分の力のなさを痛感しましたが、嘆いていても何もできないので今できることを見つけ、精魂込めてやろうと思って毎日の仕事をしていました。ポルトガル語の勉強も人が3時間やるのなら、自分は10時間やるぞと決めてやってましたね。
海外でのビジネスの中で、経営面に興味をお持ちになるようになられたですか?
----佐藤
ブラジル時代、現地法人が赤字だったんですけど、その時、「会社というものは赤字ではどうしようもない。」と感じました。そこで自分が指揮をとり、会社を動かし、利益を出していく仕事がしたいと思うようになりました。その後、実績が認められて42歳でホンダのタイ現地販売会社の社長になり、初めて経営者という立場になりました。
目標をきちんと達成なさっていらっしゃいますね。
----佐藤
でも、最初は全く売れなくてね(笑)。何故だろうと考えてみると、結局、原因は私自身にあるんだと気がつきました。これを私は『原因自分論』と呼んでいます。物事がうまくいかない理由を状況や環境のせいにするのではなく、要はそれを克服する方策を見つけられない自分に原因があるのだということです。そう考えて腹をくくれれば、後は自分が徹底的に考えればいいだけのことなんです。徹底的に考えて実行していく時に、新しい結果が生まれてくるものです。
すべては自分に原因があるということですね。
----佐藤
そうですね。特に経営者はそう考えないといけないんじゃないでしょうか。それとうまくいくためには、ツキを呼んでくるのもポイントでしょうね。厄介なことに対しても「ツイているぞ。力を試すチャンスだ」と思って集中して取り組むだけで、全く状況は変わってくると思いますよ。
ですが“ツキ”を自分のものにするのはなかなか難しいんじゃないでしょうか?
----佐藤
ツキを呼ぶにはどうしたらいいかと考えないといけないでしょう。私は実践論として『KFS(キー・ファクター・フォー・サクセス)』ということを大切にしています。どんなに複雑に思えることでも問題点は3つくらいに整理できます。それについて、シンプルに、スピーディーに、集中して向かっていく。何事も一生懸命やっている人のところには、いい方向に向くものなんですよ。それが“ツキ”なんじゃないでしょうか。天は自ら助くる者を助くという言葉通り、努力をしている人間には追い風がくるのは当たり前なんですよ。必ず来る、断言します。努力をしていない人間には向い風がく
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