現在は組織を離れ、個人的にコンサルティングをなさっていらっしゃいます。企業を発展させていくという面で、上場を目指したアドバイスをされるのですか?
----大野
日本ではアメリカに比べて株式上場するのに時間がかかり、また銀行がベンチャーを育成しようとしていないので新しいビジネスが誕生しにくかった。上場するまでに平均で27年もかかっていたら、それだけで人生終わってしまいますよ(笑)。今は銀行に頼らなくても、ベンチャーキャピタルなどで資金を調達し、有効的なビジネスマッチングを行っていけば、上場もしやすくなっています。もちろん上場することはそんなに簡単なことではなく、他人の何倍もの努力をしないといけないしある意味での覚悟も必要です。しっかりとビジョンを描ける起業家にとっては上場は事業を大きくするための有効な手段であるし、企業としてのある意味のゴールとして目標にできるものです。その目標も、上場すればOKと考えるのか、東証までいくのか、さらにニューヨークやロンドンまで目指すのか、それは起業家の方のビジョンの持ち方で変わってくると思いますけどね。
そういう起業家が育ってくれば、日本経済も活気づくということですね。
----大野
そうですね。起業家というのは時代を変えていく存在だと思います。それは自分の利益だけを追求するだけでなく、社会を良くするというレベルまで責任を持って考えられていることが重要なんじゃないでしょうか。そういう考え方をきちんと持っている人には財界のトップリーダーの方々にも喜んで応援をしてくれるはずです。
これから上場を目指したいと考えている起業家の方へ期待することをお聞かせください。
----大野
どんな素晴らしいビジネスモデルだとしても、起業家にとって絶対に必要なことは、事業を通じて社会に貢献しようとすることです。社会を改革するために会社を起こすんだ、というくらいの意識ですね。自分の会社の業務がどのように社会に影響を与え、どんな評価をうけるのかを考え、その価値観を社員と共有しながら事業を進めていくことが必要です。また、経営者個人の目標達成だけでなく、社員一人一人が自己実現できるような企業になるのが理想です。社員が独立して起業したいと思ったらそれを応援するような形まで整えられたら、企業として立派でしょ。会社を起して、社会を良くしよう、上場してさらに大きな会社にして、またその社員が独立して素晴らしい企業を起そう、という経営理念であり、そのような経営行動を起せる人を私は応援します。
そんな企業ばかりになったら、いい社会になりそうですね。では、最後になりますが、大野さんの座右の銘をお聞かせください。
----大野
「自力更正」という言葉をよく言います。小さい頃から身に付いてきている自分で考えて決断していくことの大切さを表しています。人間のあり方を追求すると最後は誰にも頼れませんから、自分の力で自分を立て直すことが重要だと考えています。
----どうもありがとうございました。
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