----ビジネスモデル、トップの夢、実行力が最低限の条件として、若手の起業家はいろいろな悩みや問題を抱えていると思います。鈴木さんから、何かアドバイス頂けることはございますか?
個別にお話を聞いてみないと具体的なアドバイスは難しいですが、アーリーステージの企業で多い問題は、人材の問題と販路やマーケテイングの問題だと思います。上場を目指していくならば、人材の育成がひとつクリアしなければならない大きな課題です。
いくら経営者が優秀でも、会社はひとりで動かせるものではありません。人がいなければ動かないのです。基本的にはトップに立つ人は優秀なんですよ。でも、トップが驕らないこと、人を見下さずスタッフの声に耳を傾けることが重要なことなんです。
----確かに人材がいなくて困っている企業は多いですね。
凄いプレーヤーばかりではないですからね。でもモチベーションがあれば、できる人材はたくさんいるはずです。リーダーとスタッフに共有できる目標があると、組織はうまく進んでいく可能性が高いですね。そういう意味で人を育成すること、大切にすることは経営者の方に大いに意識して欲しいことです。
----販路やマーケティングの問題とは?
私がこれまでの経験上から言うと、上場を目指していてできなかった企業は、マーケティングで失敗していることが多いんですよ。つまりいい商品、いいサービスがあったとしても、それが売れなければ何にもならないということです。もちろん先程話に出たように、企業経営はひとりでするものではないので、社長がひとりで売ることもしなければいけないという話ではなく、マーケットを見極める能力を持っていないといけないということです。特に技術系の経営者の方にありがちなのが、開発に時間をかけすぎて、素晴らしいものが出来ても販売できる頃には会社の体力がなくなってしまっている、というようなことです。ですから、思い描いた夢を実現できるプラン(事業計画)を作り、それに向かって実行力を持って進んでいくことが必要です。
----そのようなアドバイスを、各企業に具体的にしていただけるんですね。
20年以上この世界でやって来た私のノウハウの限りを尽くしてサポートします。だから一緒にやっていく経営者の方にも、真剣になって取り組んで欲しい、というのが私の考えです。誠実でない人とは仕事はできません。それが最低条件で、そうでない人はどんなに大きな会社を経営していようこちらからお断りです。
----ではこれから上場を目指す若手起業家の方々に向けて、メッセージをいただけますか?
先程も申し上げたことですが、まずは『真剣にやれ!』ということです。ビジネスにさまざまな困難はつきものです。ただ真剣にビジネスに立ち向かっていれば、活路は開けるはずです。真剣にやっている人に対してであれば、私は自分のナレッジやノウハウ、人脈を活かしてサポートしていきたいと思っています。私の専門であるIPOという業務はその先にあるものです。まずはきちんと成功する、きちんと経営していける企業をつくることが大切だと思います。
----鈴木さんのお人柄のわかるお言葉ですね。
会計士や上場サポートというとお金に関わる部分の相談が中心と思われていますが、私は販路の開拓を含めたマーケティング、人材育成に関しての相談等にもできる限りアドバイスや支援をしていくようにしています。そうしてその企業が成功していくこと、大きくなっていくことは凄くエキサイティングで楽しいことです。これからもそのような立場で仕事をしていきたいと考えています。
----本日はどうもありがとうございました。
(2007年12月4日取材) |