----本日はお忙し中、時間をさいて頂き、ありがとうございます。まず、久保さんの生い立ちを簡単にお聞きしたいのですが?
長崎・五島列島の福江市(現・五島市)で生まれ育ちました。牧場兼農家の家でしたが、それを手伝うのは子供の頃から好きじゃなかったですね。体が大きい方ではなかったので、高校卒業後は競艇選手かプロボクサーになろうと考えていました。
----なぜ、そんな少年が実業家になられたのですか?
局、どちらにもなれなくて、福岡にあったキャラクターグッズ販売の会社に入ったんです。サンリオの創業メンバーの方が立ち上げられた会社で、そこでいろいろと勉強をさせてもらいました。
----独立されたきっかけは?
好きな会社でしたし、そこに骨を埋める気だったんですけどね・・・。 その会社の大阪営業所の責任者として売上も本社に並ぶくらいにしていましたが、バブルがはじけて売上が厳しくなってきたんです。そんな時、営業で店舗回りをしていて、ふとゲームセンターのクレーンゲームが目についたんです。当時はあまりいい商品が入っていませんでしたから、「ここにキャラクター商品を入れたら売れるんじゃないか?」と思ったんです。それを会社に提案したら、却下されました。当時は百貨店などへの販売が中心でしたし、ゲームセンターは暗いイメージのところでしたから、イメージが良くないということで。でも、私はこれからアミューズメント業界は必ず伸びると感じたので、独立を考えるようになりました。
----まさに先見の明だったわけですね。
独立資金は500万円、起業当初はお金をどうやりくりしようか大変でしたよ。事務所は知り合いのところに間借りでしたしね。当時はとにかく走り回って仕事をしていた覚えがあります。そうしていろいろな方との縁で少しずつ元手を増やして、3年経ってアミューズメント業界に打って出ました。当時非常に人気だった競走馬・オグリキャップの商品化の権利を取って自社商品を作って販売したのが大ヒットして、軌道に乗りましたね。
----創業当初から上場をお考えだったのですか?
いや、そんなことはないですよ。でも、前の会社でサンリオが上場した際の話などもいろいろと聞いていたので、頭の中にはあったんじゃないでしょうか。具体的には5年くらい経った時に具体的に目指そうと考えました。当時は社員は20名ほど、全て自分がスカウトしてきた人たちでしたから、信頼して協力してくれました。「5年後に上場を目指そう」という話をして、1年前倒しの4年目、1999年に大阪証券取引所新市場部の第一号で上場しました。
----第一号だったんですか、すごいですね。
----着実に業績を伸ばして上場をなされた訳ですが、その要因は何だとお考えですか?
アミューズメント業界自体が転換期だったんですよね。ゲームセンターが暗いイメージから脱却し、女性も含めて一般の人たちが気軽に遊びに行くところになってきていました。だからかわいいキャラクター商品がアミューズメント業界に必要とされたのだと思います。また、当時、就職氷河期で女性が非常に就職難でした。我々の会社はキャラクターを扱う会社ですから、そこには女性の感性は非常に必要なのではないかと思い、女性を積極的に採用し、女性社員の働きやすい環境づくりにも力を入れました。
----具体的にはどのようなことをなされたのですか?
女性社員が営業に行き、注文をもらっても、重たい商品を持っていくのは大変ですよね。だからカタログで注文を取ってきて、配送センターから商品を送るというインフラ作りをしました。どちらかといえば玩具の流通の世界は古い体質の世界でしたから、そんな流通システムがなかったんですね。それにいち早く手をつけて、若い女性社員が明るく売り込みに行ったのも良かったんじゃないでしょうか。それに女性に人気のあるものを販売する説得力も、絶対に女性の方があるはずですからね。
----その通りだと思います。最近では「ナカヌキヤ」の方も頑張っていらっしゃいますね。
2006年12月に神戸店をオープンし、2007年には福岡店をオープンします。営業権を取得してから1年ほど経って、新店をオープンする動きができるようになりました。小売業はこれまでやったことのない事業でしたので大変な面はありましたが、「ナカヌキヤ」でキャラクター流通の川下も押さえることができました。そのデータをキャラクター商品の企画開発などを始めとする自社でのもの作りにも反映していきたいと考えています。そして近い将来、「ナカヌキヤ」も上場をできるように頑張っていきます。
----期待しています。是非、頑張ってください。
社内的には反対を押し切って始めたことですからね、失敗はできません。お金もかなり使いましたし…。小売業は難しいですが、「ナカヌキヤ」を自立させ、発展させ、上場することは、SKジャパンの未来にも必ずつながっていくことだと確信しています。
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