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増収益の企業なら、IPOは自然に出てくる選択肢のひとつ
健全な経営の継続と財務面・技術面の“信用力”が上場の鍵

バリオセキュア・ネットワークス株式会社/代表取締役CEO/坂巻 千弘 「近年上場企業経営者紹介ー21世紀型企業家ー」の第9回は、ネットワークセキュリティシステムをパッケージ化したサービスという、IT社会になくてはならない事業で上場を果たした「バリオセキュア・ネットワークス株式会社」の代表取締役CEO・坂巻 千弘 様にお話をお聞きしました。

理系出身だがビジネスにも関心確かな技術力を背景に起業----本日はお時間を頂き、ありがとうございます。まず、坂巻さんが起業に至ったきっかけからお伺いしたいと思います。

学生の頃から漠然と自分で何かしたいという思いはありました。まぁ、それは学生が抱く夢のレベルですけどね。理科系大学で経営工学を学んでいて、専門はコンピュータや情報通信でしたが、学生時代から“経済の血液”である『金融』に興味を持っていました。結局はエンジニアとして就職しましたが、就職後も経済、経営、金融等への興味は常に持ちながら、自分の得意分野であるITやコンピュータを使って何かできないかと考えていました。

----学生時代からの夢を実現されるために独立されたということですか?

仕事をしながらだんだんと自分で事業をしたいという思いが強くなってきたという感じです。外資系証券会社で働いたことで、金融への知識も学べたのもプラスになりましたし、個人個人の前向きな姿勢を見て自分で事業をしたいという思いを強く持つようになりました。また、次の会社(ピーエスアイネット株式会社)では、マンションの一室で立ち上げた会社を、社員300名の企業に成長させていくことまでを経験しました。

----それは非常に大きな経験だったのでは?

マンションの一室の会社がどんな付加価値を出せば大手と勝負できるのか?と自分たちでプランを考え、実践してきました。当時はインターネットの黎明期で本格的にインターネットを使いたい企業は数百万を投資して自社サーバーを用意していました。そんなところに月額1万円で独自ドメインでメールが使えるレンタルサーバーのサービスや、月額5万円でファイアウォール機器のレンタルサービスを提供して、それががヒットしました。そんな自分たちで大きくしてきた会社で、本当に大好きで思い入れがあったんですが、実はその会社がなくなってしまったんですよ・・・。そこが実際に起業を決意した契機です。もう自分でやるしかないなと、自分でやることしか考えませんでした。我々の持っている技術には自信があり、必ずいいサービスを提供できるという自信はありました。それでダメなら、自分でやったことに悔いはないだろうというように思っていましたね。

“ネット上の警備はバリオ”と言われる存在を目指す----ピーエスアイネットの仲間の方々と一緒に起業なされたんですよね?

現在、取締役COOヴィンセント・ジョセフ・ギベスと取締役CTOエリック・エドワード・ボウルスと私の3人を中心に、8名でのスタートでした。新会社設立への準備期間は、知り合いの社長が『場所が必要だろう』と貸してくれた部屋にみんなで集まり、いろいろとプランを練る毎日。またマンションの一室に戻ってしまいました(笑)。

----セキュリティ事業を行なっていくことはその時に決まったのですか?

最初はシステム開発関係のことは何でもやっていましたよ。とりあえずのお金が必要でしたから・・・。会社設立後も、しばらくは自前でオフィスが持てず、間借り状態でしたしね。そういう時にお世話になった方々には本当に感謝しています。ただ、やはり我々としてはセキュリティがやりたかったんです。当時高速通信回線に対するセキュリティは非常に高価なものでした。またインターネットの普及が進むに連れて、その重要度は確実に増していくはずで、ニーズは確実に高い。日本にはセキュリティメーカーもありませんでした。だから我々の技術があれば、確実に勝負できる分野だと考えていました。

----しかもアウトソーシングに向いている分野ですよね。

そうなんですよ。企業が、高価な海外製のセキュリティ機器を買っても普通は使いこなせませんし、セキュリティの専任担当を置くことは難しい。そういう面ではアウトソーシング向きで、しかも我々は機器をレンタルし、安価でセキュリティサービスを提供できるようにしています。また、弊社のセキュリティ機器はさまざまなセキュリティ機能を一台でまとめて搭載しているのが特徴です。

----必要とされている分野で、しかも費用的なメリットもあるとなれば、会社設立後、事業展開は順調に進まれたのではないですか?

いや、なかなかそうもいかないんですね。いいものだとわかっていても、企業が導入するにあたって小さな会社ではなかなか受け入れてもらえないのが現状です。そこで必要となるのは、やっぱり“信用”なんです。マンションの一室を間借りしているような会社では、経営的な面での信用が薄い、ということですね。そんな時、我々はジャフコさんからの出資が決まって、資金的な面では目処が立ちました。また、技術的には第三者の客観的な評価が重要になってきます。そこで次に技術的な信用の証しとして、セキュリティ製品の認定を取ることを目指しました。2003年9月にセキュリティ製品認定機関である、米国企業ICSA(International Computer Security Association)によるファイアウォール認定バージョン4.0を、日本企業として初めて取得して、財務面・技術面でようやく戦える会社になりました。

実社会の警備ではセコムさんが有名ですが、ネット上の警備はバリオセキュア・ネットワークスと言われるようになれるよう頑張っていきたいですね。そして日本のようにインターネットの高速化が実現しているところで役立つサービスなら、今後他国でもインターネット環境の高速化が発達してくれば、海外でも勝負をしてみたいと考えています。


歴]
1966年生まれ
AT&T JENS株式会社、ソシエテ・ジェネラル証券会社東京支店、ピーエスアイネット株式会社を経て、
2001年6月 アンビシス株式会社(現、バリオセキュア・ネットワークス株式会社)を設立。代表取締役COO就任
2003年4月 バリオセキュア・ネットワークス株式会社、代表取締役CEO就任 (現任)
2003年6月 本店を東京都港区虎ノ門に移転
2003年9月 セキュリティ製品認定機関である、米国企業ICSA(International Computer Security Association)によるファイアウォール認定バージョン4.0を、日本企業として初めて取得。
2005年6月 本店を東京都港区愛宕に移転
2006年6月 大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場


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