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[ベンチャー支援]
研究の成果を人々の暮らしに活かすことそれが会社の目標であり、医師としての使命

痛みや疲労のバイオマーカーを開発中それらを数値化できれば、医療も変わる----現在は、どのような業務、というよりは研究になるのでしょうか…、具体的にはどのようなことをなされているのですか?

我々が現在行っているのは、「バイオマーカー・評価システム開発」です。バイオマーカーというのは、人が発する生体情報を数値化・定量化した指標のことです。具体的に言うと、疲労、痛み、加齢を数字で表すことができないか?、ということを研究しています。

---何だか大変難しそうでなことですね。

例えば、疲労について言えば、どれくらい疲れているのかが客観的な尺度でわかれば、それに対して科学的な臨床評価ができるようになります。つまり、疲労の優れたバイオマーカーを開発できれば、疲労解消の優れた医薬品やトクホ(特定保健用食品)を生み出すことができるようになるんです。当社では、大学発バイオベンチャーの利点を生かし、大学研究者とのネットワークを活用して、鋭敏で優れたバイオマーカーの開発を行っています。

---本当に役立つ研究ですね。

今は「疲れた」ということの基準は感覚に頼っていて、客観的な評価尺度がないんですよ。どれだけ疲れているかというのは、個人個人の気分次第でしかない。「疲労」と「疲労感」というのは違うんです。疲労感は達成感や爽快感によってマスクされますが、実は疲労は蓄積したままです。予防医療や労働衛生の観点からも、疲労度を客観的に知ることは重要なことなんですよ。

---確かに、そうですよね。その研究は実際にはどのように社会に活かされることになるのですか?

我々がコーディネーターとなって、産官学連携の「疲労定量化及び抗疲労医薬・食品開発プロジェクト」を行っています。今プロジェクトには我が国を代表する製薬・化学企業9社、食品企業7社、総合商社2社の計18社と、「健康予防医療産業振興プロジェクト」を推進する大阪市が参加して、抗疲労医薬品、トクホあるいは抗疲労製品の開発を行っています。

---それは、まさに産学官連携の理想的な形ですね。

そうですね、バイオマーカーの開発と臨床評価システムの確立を通じて、医薬あるいはトクホなどの機能性食品の開発を行い、社会に貢献することが当社の理念です。それと、一企業の研究機関だけではできないことが、我々のようなベンチャーだからできるというメリットは大いにありますね。

自分が夢中になれることでなければ一生続けていくことはできない---個人と会社の将来の目標をお聞かせ頂けますか?

私は医者なので、よい医療を展開することを考え続けていきたいと思っています。そして大学発の優れた研究の成果を社会に活かすために会社があると考えています。究極的には人の役に立つため医療を行っていくための仕事をしていくという点では、個人も会社の目標も一緒ですね。医療業界も今後変わっていくでしょうが、結局、よい医療(サービス)を提供するところが生き残っていくことになるでしょう。

---梶本先生のようなドクターばかりなら、きっと日本の医療はもっとよくなると思います。それでは、最後にこれから上場を目指している経営者の方にアドバイスを頂けますか?

経営的な面でですか? いや、特別に何もないですが、何事もそんなに甘くはないということは頭において置かれた方がいいんじゃないでしょうか。運はみんなに平等にあると思いますが、その運を活かすのもの努力次第。努力することも才能ですからね。それと、これは私が親交のある島田紳助さんといつも話していることなんですが、『夢中になれることが一番大切や』ということです。色々な経験をする中で、どんどん熱くなれるものが少なくなりますが、自分たちで感動できること、夢中になれることをずっと持っていたい。プライベートなことでもいいんですが、仕事をする時間が一番長いのですから、その中で夢中になれるものを見つけられるのが一番いいことだと思います。ビジネスの参考になるかどうかはわかりませんが、私はそう考えています。

---大変、素敵なお考えだと思います。本日はどうもありがとうございました。

(2005年10月27日取材)



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