----上場の時にどなたかの影響を受けられたとか柱になった方はいらっしゃいますか?
モチベーションを自分なりにキープしていく事は大変でしたが、その中で、当時、副社長をやっていた西田という同級生の男が、非常に楽観的ポジティブで助けられましたね。今はうちの顧問をやっています。
---逆に、年配の方のアドバイザーとかはいらっしゃらなかったんですか?
上場する際には、いろいろとアドバイスをいただいたりとか、考え方を教えていただいたりとか、その時々において、アドバイスしていただける方もいましたが、精神的に上の方からサポートを受けたり、求めたりしたことはないです。僕はポリシーがあって、最大のリスクヘッジは自分でやる事だと思ってるんで。ですから、人のお話を聞いた上で、自分でやれるんやったらやります。諦めない感情が大切ですよね。諦めなければ道が残る可能性がありますよね。
----最初から上場することは頭にありましたか?
どうせやるんだったら上場しようと思っていました。会社を作るってリスクですから、もう後ろに下がれないわけですよね? 止まったら死ぬ仕組みになってるので、走り続けるしかないんで。じゃあ、全力疾走しよう!と、そう思っただけです。
----池添さんは、今、東京にも進出してらっしゃいまして、ベースはあくまで関西から出た企業でおいておくのか、やっぱり両方本社体制でいかれるのか?
僕はあまり気にしていないです。「マザ−ズオークション」というのは世界の不動産流通というのを牛耳ってみたい、世界に行きたいと思っているから、日本発信という気持ちは持っていません。最初からそういう気持ちはありました。夢はでっかく描いておかないと、それ以上の絵は人間描けないでしょ。だから東京とか大阪とかで争ったり、誰かと喧嘩して戦うんじゃなくて、自分達で戦って、自分達のポジションをつかんでいけばいいんですよね。誰かに勝って上に立とうとするから、戦争とかすると思うんです。人類が元々戦うのが好きなのかもしれませんけど。そうじゃなくて、たまに話するんですけど、人類は早く宇宙人に会うべきだと(笑)。宇宙人会ってしまえば、地球人になれるんじゃないですか。そしたら、世界が一つになれるんじゃないか、って思うんです。日本が勝っても仕方ないですよね、誰かが負けてるわけですから。みんなに幸せを与える気持ちでやれば、きっと自分に返ってくるはずなんです。大阪もよくなるから周りもよくなろうぜ!と。東京に負けないと意識するよりも、大阪をどうよくするかが大切なこと。そういう意味では、大阪をもっともっと人が住みたい街にするべきですよね。経済都市として大きくなるより、環境先進都市となった方がいいと思います。
----これからのアイディーユーの方向性をお聞かせ下さい。
ビジネスでいうと環境を守ることが経済の蘇生の一部になる、つまり、環境保護することが、不動産ビジネスの一部になるような仕組み作りがしたいと考えています。環境税とか言っているんじゃ緑なんか増えませんよ。建坪率、容積率、緑化率で緑が多くなる方向に行政が決めて、それとビジネスがリンクしていくのが一番いい方法じゃないでしょうか。みんなで木を植える事が、収益につながるんだったら、大阪のおばちゃんでも植える思うんですよ。20世紀は森を切って、宅地にしましたけど、21世紀はもう一回森を戻すのが、不動産ビジネスになればいいなぁと思っています。そういう意味で最初に言った、大阪北ヤードの企画コンペで「太陽の塔」を計画地の真ん中に置こうということも考えたんです。人はモニュメントに集まる仕組みになってるんです。森はコストセンターですけど、NYって聞いたらセントラルパークって思い浮かびますよね? セントラルパークがあるから周りの不動産がよくなったんですよ。僕はグリーンアーストラストってね、グリーンの地球に投資しようぜっていうのに、「GET
PROJECT」という金融ストラクチャーを出したんです。そういう仕組みであれば、大阪市民の小学生がワンコインで、投資できてそれが、リターンになって返って来る。年間で損するかも知れないけど、それも経済の勉強になってええやんと。環境を守らないといけないと思うから、みんな守らないんです。守る機会を与えていただいたと思えばいいんですよ。そしたら初めて能動的になれるんです。そういう形で緑を増やす方がいいということを、私は行政に提案しています。それは大阪ができるところじゃないの?ビジネス作るとこでしょ?って、ずっと言ってます。
----不動産業界だけじゃなく、やはり全世界的に、地球、人にいい物作り、環境問題に取り組んだサービスや商品は大切なことですね。
そうですね。衣食住とどうしても切っても切れないものなんで、人は住まないといけないんで。昔、考古学が好きで、参加した事がありまして、昔の人もやっぱりリバーサイドで、環境のいいとこに住んでますよね。古墳が出る場所ははわりといいとこなんですよ。
----最後に上場しようと思っている20代、30代の若者に向けて、メッセージをお願いします。
「向上心をもってこそアイディーユーマンたる証である」ということを、社員には言ってます。要は、向上心がなければ、アイディーユーの人間ではないという表現です。これは実は向上心を持ってこそ人間たる証であるという意味なんですね。人間と言うのは、成長する葦であって、成長するからこそ生きてこられてますよね。退化するんだったら、人間はモチベーション下がって死んでしまうと思うんです。上場するということをモチベーションのひとつ、ステップのひとつにして頑張って欲しいです。そして、会社は株主のものであるということも意識しておいてもらいたいですね。株主は株を売ったり買ったりする、大きくいうと不特定多数ですよね。だから社会性を帯びてるんです。社会性を帯びるということは、商は笑なりで、売り主、買い主両方笑ってこそ、ビジネスやと。もう一つ大事な事は『世間もよし』という三方よしですよね。そういうモデルというのを世の中で作っていきたいと思います。そのためには考え続け、それを実行するために、唱え続けること。そうすると有言実行しなければいけないんで、諦めずにやり続けることが大事です。夢というのは手を伸ばせば、そこにあるものなんですが、みんな今の夢に満足しちゃったりいているから手を伸ばさない。ちょっとした勇気があれば誰にでもできることで、その可能性というのを信じるべきですよね。信じるのは簡単で諦めないということです。諦めなければ信じるしかないですから。
----ありがとうございました。
(2005年5月20日取材)
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